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 目下、ひっそりと続けている声のトレーニング。

※これまでの私の「声」とのお付き合いはこちらの記事。
「エエ声」が、欲しいのだ!@声を演じる①(2019年5月9日の記事)
まずは、やってみなはれ@声を演じる、その後(2019年5月19日の記事)
アイドルは誰だ@声の偶像(2019年7月16日の記事)

先日思い立って、「プロの力を借りて声をきたえよう」と決心し、ヴォイストレーニングの教室に飛び込みました。
「話す」「歌う」「しゃべる」「語る」、日常の様々な局面の中で、自分と自分の声が切り離されることはありませんが、いざ声のプロの面前で声を出すということは、久しくなかったことでした。

いざ声を披露するとなると、これがまたパニくるパニくる。

ひーーーー、となりながら。 ©︎いらすとや

羞恥心に目が泳ぎ、自分の声が自分でないような心地にさいなまれつつ、それでも実際に純粋に声に向き合う作業が始まることで、ようやく自分の声を客体化するようにことができ始めたように思います。


さて、この初めてのトレーニングでズームインした存在が「のどぼとけ」。

先生:「のどぼとけに触ってみてください。」

もちろん知ってる知ってる、のどの真ん中にありますよね?

無意識ながりに「のどぼとけ」を探りあてようとじっくり触ってみるのに、手が「のどぼとけ」にあたらない。

先生:「ほら、息を吸うとカクっと動く、これ」

え?そんなにコクンと動かないぞ。
もしかして私、「のどぼとけ」が無いのかな…まさか、そんなわけない。

若干狼狽しながら、喉の周りをこれ以上ないほど触り続けていると、ようやく自分の手指に引っかかってきた、小さな骨。
なんと自分が思っていたよりも、ずっと上のほうに「のどぼとけ」がコロコロと動いている。

今の今まで、私は自分ののどぼとけはもっと喉の真ん中にあると思い込んでいました。
よくビールのCMで、どの俳優さんも女優さんもすばらしく喉ごしの良い音を立てて隆起させる、あのあたり。
ところが実際、私の場合は、顎の真下を伝った先にようやく見つかるほどの高い位置にあるのでした。

「え、こんなところにあったのか」


知っていたようで知らない、知覚していたようで知覚していない、その最たる例を自分の「のどぼとけ」に見たような気がしました。

私は私を、あまりよくわかっていない。

そしてトレーニングの中で知ったのは、自分自身が声に対して持っているイメージやコンプレックス、感覚や感触、そういったものを、聞き手は全く違った感覚で受け止めているということ。
私自身は弱々しい声と思っていても、聞き手にとっては柔らかなファルセットに聞こえる。
自分からは程遠いと思えるような声のモデルを追うことも、プロの感覚では決して無茶な夢物語ではない。

私は私を、あまりよくわかっていない。

自分の声をして、それを強く実感した日でした。
同時に、自分の声をもっと好きになれる、自分の声を味方にできる希望が、ふと見えた気がしたのでした。

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