「歌」がまぶしい@パーソナル・ソング③
長くなっていますが、本シリーズのこれまでの記事はこちら。
→「うた」が開く記憶の扉@パーソナル・ソング①
→「声」を挙げて@パーソナル・ソング②
目で修道女メアリー・ロバートを追いかけながら、物語は終盤にさしかかります。
ギャングに追われる主人公デロリスが、隠れ家として逃げ込み、修道女たちと暮らしていた修道院を離れ、逃れていこうとする時。
追いすがるメアリー・ロバートから告白されるナンバー〈The life I never led〉。
長くなりますが、原詞と私の意訳(間違ってたら教えてください)を並べます。
〈The life I never led〉
I’ve never talked back, I’ve never slept late,
I’ve never sat down when told to stand straight
I’ve never let go and gone with the flow,and don’t even know, really, why.
I’ve never asked questions,or taken a dare.
I’ve never worn clothes that might make people stare.
I’ve never rebelled,or stood up and yelled,or even just held my head high.
And all of the feelings unspoken, all of the truths unsaid, they’re all I have left of the life I never led.
これまで私は 口ごたえをしたり 寝坊したこともなかった
立っていなさいと命じられれば座ったりなんかしなかった
どうしてそうしなければいけないのか 理由さえ知りもせずに
問いただすことも何かを試すことも
人が目をむくような服も着ることもせず
逆らって 立ちあがり 声をあげることもしなかった
ただ顔をあげることさえできずに
思いも真実も 語られることなく 打ち明けられもせずに、
全て置き去りにされていった
私が自分を手放して生きていた過去の中で
I’ve never gone surfing,or ran with a crowd.
Or danced on a table, or laughed much too loud.
I’ve never quite dared to leave myself bared -I’ve just been too scared I might fall,
I’ve never seen Paris, swum naked, been kissed.
I’ve never quite realised just how much I’ve missed
And what did I get for hedging each bet?
Another regret, and that’s all.
And all of the wishes unasked for,All of needs unfed –
They’re all that remain of the life I never led.
サーフィンに行ったことも 人混みで走ったことも、
テーブルの上で踊ったことも 大声で笑うこともない
自分を露わにすることはなかった
失敗するんじゃないかと恐れるばかりで
パリにいったことも 裸で泳いだことも キスをされたこともない
そして今まで気づかなかった
自分が一体 どれ程のものを失ってきたか
そうして息を潜めたところで 何が手に入ったというの?
またひとつ新たな悔いが生まれただけ。
あらゆる願いや望みが叶えられることなく いつしか置き去りにされていった
私が自分を手放して生きていた過去の中で
And now…now that you’ve given me one little taste of it –
And now…now that I know what I know –
Well how…how can I go on ignoring the waste of it?
After all of the years that I’ve clung to my fears.
Won’t you help me let go? Help me let go!
けれども今… あなたがその世界の素晴らしさを ほんの少し味わわせてくれた
今ならばわかる 私が何を望んでいるのか
どうしてこれ以上 それが失われるのを見過ごせるだろう?
恐れや不安に囚われた月日からようやく逃れて
あるがままを成そうとしている私を助けてほしいの
I want to be brave,I want to be strong.
I want to believe I’m where I belong.
To stand up and say “I’m seizing the day”
To not just obey, but to choose.
勇気がほしい 強くなりたい
自分が何者かであることを信じたい
立ち上がり こう宣言しよう
「自分の人生を取り戻そう ただ従うのではなく、選ぶために」
And I may not surf, I may not see France.
原詞:Glenn Slater
but I want to know I still have the chance.
And maybe I’ll make a painful mistake.
It’s mine though, to take or refuse.
And all of the doors yet to open, all of the rooms ahead –
They’re beaconing bright, scary and new –
But I’m standing tall,and I’m walking through.
What’s gone may be gone, but I won’t go on playing dead!
It’s time to start living the life I never led.
これからだって サーフィンに行くことも
フランスに行くことも きっとないだろう
けれども まだチャンスは残されていると信じるのだ
そして いつかひどい過ちだっておかすだろう
それでもそれを選び取るのか 拒むのか 決めるのは私
行く先には いくつもの まだ見ぬ世界への扉がある
輝かしく 恐ろしくて 新しい扉
でも 顔をあげて 進んでいこう
失ったものはもどらないけれど
もう二度と 死んだように生きることはしない
今こそ 私は私の人生を生き始めるのだから
すがりつくような歌詞とともに、強く息づき始める彼女の希求のまぶしさ。
ひとりのキャラクターが、激しい熱と光を放ち始めるのを目の当たりにして、客席で圧倒されたのでした。
続きます。