ぬかるみの興奮@ワークショップイベント体系について ③
親子対象のワークショップ「うたんぼ」、このプログラム名称は、いつもの語呂合わせと連想で生まれたものです。
ものを育てるというのはとても不思議で、描く予測やイメージは絶えず覆されて、おもしろい。
そんな感覚の根っこにあるのは、小学校時代に初めて田んぼのぬかるみに足をねじ込み、身体中を泥だらけになりながら参加した田植えの経験です。
水をたたえた田んぼの匂い、ぬるんだ泥の柔らかさ、ひょろりとした青い稲の苗代が、風に揺れるたびに水面にいくつもの波紋を生んでいたこと。
たった一度きりの経験でしたが、今にしてみれば目にするもの、匂いや温度に対する自分の感覚が色んな方向に引っ張られる、ちょっとした冒険のような、とても詩的で音楽的な体験だったと思うのです。
数週間先、数ヶ月先、ほんの少し先の未来に、何かが確実に育つ。
そんな小さな期待や喜びが、田んぼや畑に立つたびに胸の中で踊っていたように思います。
音楽ワークショップ「PLAY!!」の中で私が期待しているのも、「音楽が育つ」ことそのものです。
だから「うた」と「田んぼ」を掛け合わせて「うたんぼ」。
田んぼのぬかるみ、色んなものがないまぜになった混沌とした泥の中から、芽吹いてくる何かを探すプログラムです。