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オノマトペを含む「ことば」を細かく取り出して見てみると、「ことば」が「音」になるときに生まれるエネルギーの移り変わりを味わうことができます。

例えば「パ行」が発音の瞬間に放つ爆発力。

「ザ行」の、唇がふるえるくすぐったさ。

「ナ行」の鼻にかかるようなしめやかさ。

音色の中に含まれる質感、温度、発音するときに生まれる体感。

「ことば」が単なる意味を伝える記号としてでなく、私たち一人一人の身体を確かに震わせて響く、肉感的な「声」なのだということを実感します。

今回はその「声」を、楽器の音に変換してみました。

「ことば」が、それ自体の確かな意味をもって人に伝わるのとは対象的に、楽器の音色にはもっと抽象的で、あらゆる意味合いを包みこんでしまえるような広がりがあると私は考えています。

「ことば」の持つ質感、温度、広がり、響き。

それらが楽器という別な発声体を得た時、「ことば」自体の文字通り意味を失うとして、逆に何を叶えるのか。

そうしたアプローチからワークショップを進めてみると、「ことば」から解放されると同時に、楽器そのものが生む残響や、その音色が描き出す情景に気づくのです。

一つ一つの音色が、「ことば」の味わいとは別な形で身体に響いてくる。

音が生まれて消えていく、そのずっと先に、耳と意識を誘い出してくれる。

楽器は「ことば」を持たないかわりに響きの中に人を遊ばせ、泳がせる時空を与えてくれるのだと、改めてかんじました。

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