降って湧いた「ミュシャ」@不意をつく「笑い」
「何それ、おもしろい」の瞬間は、日常の中で不意をついてやってくる。
人それぞれ、その瞬間をどういなしているのかは分からないのですが(特に一人の時、どうしていますか?)、喉の奥で笑いがこみ上げた時、私は例外なく「むは」っとなる癖があります。その昔、大学生時代にアルフォンス・ミュシャの展覧会が関西にやってきて、そこに足を運んだ友人が「ミュシャってチェコ語(ミュシャはチェコ出身です)ではムハっていうんだって」と教えてくれた時。
「ミュシャ」と「ムハ」の語感の違いに大うけして、「ムハ、むは、ムハ!」とその響きをひとしきり楽しんだ後、不意に笑いに襲われたときに自分の喉の奥で響く声に無理やり文字をあててみると「むは」となることに気づきました。クスクスでもふふふでもなく、げらげらでもなく、「むは」。
「ミュシャ」から、「むは」。ことばの形をしていない声や響きというのは意外にたくさんあって、そこに文字をあててみたら風変わりな新しいことばが生まれるのかもしれないな、とその時思いました。
ともあれ。
「むは」っとなる瞬間は、自分にとって予想外の出来事や発想の枠外にある事物を目の前に見せられたときに突き当たる、強烈なおかしみや笑い。
心の温度を、「なにそれ、おもしろい」と一気に引き上げる劇物。 そんな「笑い」と拾い上げてみたいと思います。カテゴリーはこちら→「転じて、ムハ」