「しかるべき」はどこに?@「人」と「場」について
ある日、ひとつのアイデアを思いついた。
それを実行するために、まず何が必要で、どんな味方がほしくなるのでしょう。
学生の身分を終えてから6年間フリーランスとしての活動を続け、自分の働き方や仕事の作り方を模索し続けた中で、さまざまな「やってみたい」「叶えてみたい」アイデアが頭に浮かんでは、その多くを見送って行きました。
そしてようやく、昨年の秋に一大決心をして、音楽ワークショップを軸にした自分のアイデアを企画として起こし、自分の責任でお金を管理し、時間を切り分け、人を集め、つまりは「自分のビジネス」と言える仕事を始めました。
アイデアを形にすること自体は、自分一人の頭と力を細かく読み抜いて、必要な言葉と肉付けを与えたならば叶えられると思います。
けれどもそのアイデアが芽吹き育っていくための営みは、「人」と「場」の力を得ずしては続いていかない、というのが私の実感です。
試行錯誤を続ける中で、小さな指針のように自分の内側にとどまっていた言葉が一つあります。
音楽ワークショップやコラボレーションについて研究や実践に明け暮れていた時に、さまざまなヒントをくれた先輩たちの言葉でした。
“Find right person, and right place.”
しかるべき人と、しかるべき場所を見つけて。
その言葉を受け取った当時、すぐにピンときたわけではありませんでした。
けれども、何かアイデアに形を与えよう、そのために動こうとする度、この言葉が一つの呪文のように頭の中に響いてくる。
日々膨大に接する情報の中でその言葉が自分の内にとどまったのは、よほどの強い意味合いと示唆があったからだろうと今にして思えるのです。
場所の引力、つながる人の力、それらに行きあうタイミング。
たとえ自分の知恵と力をつくしてあたるとしても、それらの力をはるかに超えた、コントロールしようのない見えない力の強さ。
時間が流れて経験が増えれば増えるだけ、その力の大きさへの感度があがり、無意識にその「人」と「場」を探して歩き続けているように思います。
かつて受け取った言葉に、自分の実感が追いついてきた。
そう小さく実感できる時に、「あぁよかったなぁ」と思います。
人と場に 呼んで呼ばれて なに出でる