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「ある」と、「ない」。

対極の線上に置かれがちな色んなモノ、コト。

ある時、「センス」について考えていました。

「自分はセンスが良くないんです」「音楽のセンスが全くなくて…」。

これまでいろんな場所で行き合った、いろんな人の口からきいてきたことば。

それは同時に、問われもしないのに、かつての私の口からも何度も飛び出てしまったことばでもありました。

口にした瞬間に違和感を感じて、「しまった」と小さく後悔せずにいられなかったことば。

そもそも「センス」ってなんだっけ?

「ある」とどうなって、「ない」とどうなるのか?

551の豚まんがある時‼︎

©️いらすとや

ない時‼︎

©️いらすとや

センスは、こうも分かりやすく「ある」と「ない」の対極を行き来するようなものではないと思うのです。

そう考え続けていた時、センスのあるなしは語れなくとも、センスを総動員させて語ることは、誰にでもできると気づきました。

例えば…。

“好きな色はありますか?”

色なら青と緑が好き。

東山魁夷さんの「緑響く」の中で使われている、限りなく緑に近い青、青のような緑が好き。

そういえばディズニーのリトル・マーメイドのアリエルっているけどさ、あの子が人魚姿の時の尾っぽ(?)の色って青とも緑とも言えないじゃない?

あの微妙なバランスをもった色はこの時に作られたので、結局「アリエル」っていう名前が後で付けられたらしいけど知ってた?

“お寿司のネタで特に気に入っているのは何?”

お寿司だったらたまごとタコがすき。でもやっぱり鉄火が上を行って、できれば上トロ、でも高いし食べるとしたらここぞ、という時。

場合によってはお寿司よりもお肉。牛、牛、牛。

“「ヤバい」てどういう意味だと思う?”

最近はあっちもこっちも「ヤバい」「ヤバい」の連呼、飽和状態で、語彙の偏り具合にこっちの頭も「ヤバ」くなりそう。

でも実はこの言葉が、今調べてみたら「厄場(やば)」から来ていて、結構歴史ある言葉だと知ってからは急速に親近感が湧いてヤバい…。

つまりはヤバいって予測・計測不可能ということだよね?

その人のセンスに触れるものには、その人が現れる。

その人の全てを表すことはしないけど、その人の一面が、くっきりと浮き出て見える。

「ある」と「ない」の線上でしか与えられない記号をその人に貼り付けるのではなく、「センス」によって語ることばの中に、その人の本来が見えるのかもしれない。

そうして垣間見えるその人は、とても面白いと思うのです。

だから色んな問いかけをたくさんの人にしてみたいと思います。

その人のセンスに注意深く触れながら。

知りどころ ありかなしかの 場外に

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