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それでは、ホームページを作ろう。
私の10年越しの希望を叶えるために桾さんが力を貸してくれるとなって、ホームページは「いつかほしいもの」から「今つくりだすもの」に変わりました。

描いていた夢に具体的な実体を与えようとするときに、必要な発問はいくつもあります。

“なにを最初に形にしていくべきか?”
“そもそも一番なにを発信したいの?”
“伝えるためにどんな方法をとるべきなのか?”

こうしたクリティカルな問いに答えるとき、これまでいつも私は紙とペンで頭の整理にあたっていました。
けれどもこの時、数年ぶりの再会に懐かしさも手伝って高速アップデート会話をしながら、私はメモをとるのもそっちのけで彼女の扱うパソコンの画面に見ほれていました。

ウェブエンジニアが操る作業画面を見るのは初めて。
当然といえば当然ながら、これまで見たことがないものばかり。
目を惹くアイコンのアプリケーションが、標本のように画面にずらりと並んでいる。

気分はもうこんな感じ(後ろの人の方)。

見たことのない数式、プログラミング言語、鮮やかに切り替わる画面と、形になっていく思考。
その昔、小学生のときに初めてコンピューター(確かApple社製で、小指の先ほどの虹色のリンゴマークがスクリーンの下にポチっと佇んでいた)に触ったときにおぼろげにかんじたテクノロジーの遠大さと魔力への憧れが、ふっと呼び戻されるような興奮。

なんて面白くて綺麗なんだろう。
このツールを自由に操れたならば、どんなものにだって形を与えられるのではないか?
そんな気さえしてくるような。

おもしろい。本当におもしろい。

知らないということは、驚きや憧れを喚起する。
その未知が形を取り始めたときに、世の中のなにかを変えるエネルギーを帯びるのだと思います。
そして「ツール」こそが、その成長を可能にして支えるのだと。

限られた時間の中で高速で交わした会話の中、SNSをはじめとする情報媒体を身近にして生活している(私たちの時代にくらべれば)現在の高校生について話題が飛んだ時に、ふと桾さんの口からでた

“世の中はもっとおもしろくなるよ。”

という言葉が、何かしらの強い意味あいで自分に響いてくるようなミーティングでした。

とりあえず、アプリケーションを使いこなす云々は置いておいて、色んなアイコンを標本みたいに並べて眺めてみたいなぁ。

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