魔法をまつり @シリーズ「お宝shrine」
〈二十四の瞳〉〈喜びも悲しみも幾年月〉など、数多くの映画で主演をつとめた女優、高峰秀子さん(1924-2010)の言葉の中で印象に残る一節をご紹介します。
「人は誰でも、なんとなく気恥ずかしくて他人には言えないような、ナイショのお宝袋を持っているという。」
「小さな子供がビスケットの空缶などに、他人からみればゴミとしか思えないセミのぬけがらやら二、三個のビー玉やら壊れたオモチャなどをひそかにしまいこむように、大人もまた、いろいろなものを、胸の中のお宝袋にしまっておくのだ、と、私はおもう。」
私の胸の中にも、困ったときにはついと覗き込みたくなるような宝袋があり、その中にはあらゆる雑多な、でも何に引き換えることもできない宝物が詰まっています。
そこにしまわれた宝物を一つ一つ見つめるたびに、なぜ自分がそれらに惹かれるのか考え込んでしまいます。
どんな時、どんな場所にあったとしても、自分をある一つの座標に引き戻してしまう引力の正体が、何なのかを。
それらについてつらつらと書き進めていけば、これらの「宝」たちと私を結びつける魔法の正体が立ち現れるかもしれない。
そんな気持ちでこのシリーズ「お宝shrine」を立ち上げました。
記憶の飾り棚の中にある宝物の一つ一つを、改めて見つめなおしたいと思います。